☑︎ キャンプの夜に星空を撮りたいけど、どんなカメラがいいのか分からない。
☑︎ カメラの設定とか撮影方法も知りたい。
☑︎ その他機材とか、小技があれば知りたい。
とお考えの方へ。
キャンプの夜。
真っ暗なキャンプ場なら撮る事が出来る、空いっぱいに広がる星空を写真に残してみませんか?
この記事では、キャンプの思い出として星空を撮る時に必要なカメラ、設定方法、撮影方法、機材、そして気候条件を解説します。
また、記事の最後には撮影方法等を箇条書きでまとめています。
星空はどなたでも撮る事が出来ますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
星空撮影に必要なカメラ
星空撮影には、以下の2つの機能が備わったカメラが必要です。
① シャッター速度を長く設定できる
② 高感度性能が高い
理由として、星空はシャッターを15秒くらい開けないと写らないからです。
実は星空というのは、人間の目には空いっぱいに広がっていたとしても、カメラにとってはとても暗い存在なのです。
たとえば、スマホのカメラのようにボタンを押したら一瞬カシャッと鳴って、すぐにシャッターが閉じてしまうようなカメラでは星空は写す事が出来ません。
カメラは、シャッターを長く開ければ開けるほど、たくさんの光を取り込みます。
そのため、シャッター速度を調整し、長めに開けて星空の光をたくさん集める必要があります。
また、高感度性能って何?という方も多いと思います。
試しに夜に部屋の電気を消して、スマホで部屋の何かを撮影してみてください。
この状況で撮った写真は、なんかザラザラしたノイズのようなものが写真全体に出て、明るい場所で撮る写真とは比較にならないほど画質が悪いな、と感じられるかと思います。
暗い空間では光の量が少ないので、カメラが光を多く取り込むために頑張っています。
この状態が高感度撮影モードです。
高感度の性能は機種によって差があり、スマホのカメラや古いカメラだと高感度性能が低く、カメラが頑張ってくれても、代わりにザラザラノイズが出てきてしまうのです。
シャッター速度を長く開けれるカメラを用意して、星空も何とか写った!となっても、画質が悪いと星なのかノイズなのか分からず、編集でも直す事が出来ません。
そのため、シャッター速度を長く開ける事ができ、高感度性能も高いカメラを選ぶ必要があるのです。
具体的におすすめなカメラは、2012年以降のソニー、キャノン、ニコン、ペンタックス、富士フィルムいずれかのミラーレスカメラまたは一眼レフカメラです。
ミラーレスまたは一眼レフは、どのメーカーのカメラでもシャッター速度の調整をする事が出来ます。
この時点で、星空撮影に必要な条件のひとつをクリアしています。
次に高感度の性能ですが、ソニー、キャノン、ニコン、ペンタックス、富士フィルムのいずれかと書いたのには理由があります。
それは、ミラーレスや一眼レフの中でも、カメラのセンサーと呼ばれる部分が大きいからです。
ミラーレスや一眼レフが画質が良い理由は、写真を記録するセンサーのサイズが大きいからです。
スマホをはじめ、カメラはレンズから入った光がセンサーに当たる事で、写真データになります。
そして、このセンサーサイズが大きいほど、写真は綺麗に写ります。
更に、高感度の性能も上がるのです。
ミラーレスや一眼レフは、スマホのセンサーサイズの4倍から5倍以上センサーが大きく、とても綺麗な写真を撮る事が出来るのです。
そして、先程上げたソニー、キャノン、ニコン、ペンタックス、富士フイルムは、ミラーレスや一眼レフの中でも、大きいセンサーを搭載しています。
さらに、2012年は各社高感度性能が良くなった時期です。
上記のメーカーから、2012年以降の機種を選ぶ事で、シャッター速度を調整でき、高感度性能も高いカメラを手にする事が出来ます。
星空撮影に必要なレンズ
ミラーレスカメラや一眼レフカメラは、カメラ本体にレンズを取り付けて初めて撮影する事が出来ます。
レンズは古いレンズでも、状態が良ければ写真に差は無く、中古品であれば安く手に入れる事が出来ます。
※むしろ雰囲気を出す為に、敢えて古いレンズを使う場合もあります。
星空撮影におすすめのレンズは、広角レンズという広い範囲で撮影出来るレンズです。
理由は、撮影範囲が広くなればなるほど、空いっぱいの星空を撮影出来るからです。
※逆に撮影できる範囲が狭くなればなるほど、シャッター時間を開ける事が出来る時間が短くなり、星の光を集める事が出来なくなります。
『じゃあ、どういうレンズを買ったらいいの?』
まずは、購入または予定しているカメラのセンサーサイズが、『APS-C』なのか『フルサイズ 』なのかを調べてみてください。
これは、『●●●●●(機種名)␣センサーサイズ』で検索すれば出てきます。
カメラのセンサーサイズが分かりましたら、星空撮影に必要なレンズは以下の通りです。
●センサーサイズが”APS-C”の場合
☞一番低い数字が『18㎜~』と書かれているAPS-C用のレンズ
(例)18㎜~55㎜ F3.5-5.6 等
●センサーサイズが”フルサイズ”の場合
☞一番低い数字が『24㎜~』と書かれているフルサイズ用のレンズ
(例)24㎜~70㎜ F4.0 等
この一番低い数字は、安くレンズを手に入れる為の参考値です。
これに限らず、一番低い数字低くなればなるほど、広範囲に撮影する事が出来ます。
例えばセンサーサイズがAPS-Cの場合、17mm~と書いているレンズは、更に広範囲に撮影する事が出来ます。
その代わり、値段も跳ね上がります。
※赤字記入の通り、APS-C用、フルサイズ用はそれぞれ専用レンズですので、購入時にお気を付けください
星空撮影に必要な道具
星空撮影にその他必要な道具は、三脚です。
先程の通り、星空撮影はシャッターを長い時間開ける必要があります。
皆さん経験があると思いますが、カメラがちょっと動いただけでも、写真ってけっこうブレますよね?
カメラが動かないよう固定し、ブレを防ぐために三脚を準備する必要があります。
三脚の選び方ですが、お持ちのカメラの重さに耐えれる三脚であれば何でもOKです。
三脚メーカーのサイトには、三脚毎にどれくらいの重さに耐えれるか載っていたりしますので、カメラの重さと照らし合わせて選ばれると良いと思います。
カメラは精密機器ですので、引っかかったり強風で『三脚を倒してカメラが壊れてしまった!』という事態は防ぎたいですよね。
やはり、耐荷重をクリアしている三脚を選びましょう。
また、安く耐荷重もバッチリな三脚の選び方として、おすすめの方法があります。
それは、オークションやフリマサイトで、昔の高級三脚を購入する事です。
オークションやフリマサイトでは、当時数万円はしたであろう三脚が数千円程度で販売されています。
さすがは昔の高級三脚、壊れていない限り安定感は高級品そのものですので、かなりガッチリとカメラを固定する事が出来ますよ。
僕も、30年くらい前に40,000程度で販売されていたという三脚を2,000円で購入して、今でも普通に使っています。
また、テントと星空を一緒に撮りたいと思った事もあって、卓上三脚も使用しています。
普通の三脚だとローアングルに設定出来ない三脚も多いので、中々テントと星空一緒に撮影!とはいかないものですが、卓上三脚でしたらキャンプギア+星空という写真を撮る事が出来ますよ。
星空撮影の条件
星空撮影は、なるべく暗い場所を選ぶ必要があります。
明るい場所では星空以外の光が強すぎて、星空の光がかき消されてしまうからです。
中心街から離れた、山や海にあるキャンプ場でしたら大抵の場合は暗いので、大丈夫だと思います。
当然ですが、曇りだったり、雨が降っている場合は撮影出来ません。
天候に加えて、月が出ているかどうかもとても重要です。
理由は、カメラにとって『月が出ている=明るい場所』という事なんです。
先程の通り、星空を撮るにはシャッターを十数秒開けて、暗い星空の光をたくさん取り込む事が必要です。
ですが、月は星空と比較してかなり明るく、月が出ている状況でシャッターを長い間開けておくと昼間のような写真になってしまい、星が写らないからです。
キャンプの日程次第ですが、『新月に近い日を狙う』または『月が沈んだ時間帯に撮影をする』ことで、回避する事が出来ます。
月の状態を知るには、月齢カレンダーを参考にすると良いでしょう。
また、行こうと思っているキャンプ場が暗いのかどうかを知るには、公式サイト等で消灯時間を調べる等の方法のほか、その土地自体の明るさを調べられる便利なサイトがあります。
事前にその土地がどれくらい暗いのかを調べるのも良いでしょう。
詳しくは『Light pollution map』で調べ見てください。
地図が表示されますので、該当の場所の色を見てみます。
赤が一番明るく、黄色も明るく、緑が若干暗く、青紫が暗い場所です。
(明)赤>>>黄>>>緑>>青紫(暗)
標高等にも左右されますので一概には言えませんが、経験上は赤、黄色は星空が写るけど星の数は少ない、緑または青紫は満点の星空が十分に写る、という感覚で使っています。
カメラの設定
星空撮影時は、通常の撮影時と違う設定を行います。
まず、オート撮影モードを解除して、マニュアル撮影モードにします。
理由は、オート撮影モードでは上手く撮れないからです。
先程の通り、シャッター速度などを自分で設定する必要があります。
カメラをマニュアル撮影モードにするには、ミラーレスや一眼レフの場合、カメラ上部に付いているダイヤル(P・A・S・Mみたいな文字が書いています)をMにするか、ダイヤルがない場合はメニュー画面から設定しましょう。
Mはマニュアルという意味です。
次に、以下の項目を設定します。
シャッター速度 | 15秒 |
ISO感度 | 1600 |
写真の保存 | RAW+JPG |
ピント合わせ | マニュアル |
手ブレ補正 | OFF |
セルフタイマー | 2秒 |
レンズ(㎜数) | 最低値(例24㎜) |
レンズ(F値) | 最低値(例F4.0) |
これで設定はOKです。
メーカー毎に設定方法は異なりますので、詳しい設定方法は調べてみてください。
※例えばピント合わせの方法は、メーカーによってカメラ側で設定したり、レンズ側で設定したりとバラバラです。
それぞれの理由も説明します。
●シャッター速度(15秒)
暗い星空の光を多く取り込み、星空がブレないギリギリの速度です。
星空は動いていますので、レンズの距離を一番低い数字に合わせていたとしても、30秒など長いシャッター速度にしてしまうと星空がブレます。
●ISO感度(感度1600)
先程紹介した、高感度の設定です。
一般的に日中に適した低い感度は100~400、暗い空間に適した高い感度は800以降です。
ISO感度を1600に合わせる事で、暗い星空の光も取り込む事が出来ます。
逆にISO感度を、日中に適した100等に設定して撮影しても、中々星空は写りません。
実際に撮ってみてちょっと暗いな、と感じた場合は3200に設定してみてください。
●写真の保存(RAW+JPG)
これはとても重要です。
理由は、編集する時の編集耐性が上がるからです。
RAWとは写真の生データの事で、何も編集されていない状態であり、一番情報量を含んでいます。
一方、JPGというのはカメラが設定に基づいて、RAWを自動で編集した状態であり、情報量が少なくなります。
情報量が少なくなると、編集する時に直せない部分が出てきたりと大変ですので、保存方法がJPGのみになっている際は、必ずRAWも保存出来る設定にしておきましょう。
●ピント合わせ(マニュアル)
ピント合わせをマニュアルにする理由は、星空はオートフォーカスでピントを合わせる事が出来ないからです。
●手ブレ補正(OFF)
先程、星空は動いている、なのでシャッターは15秒。
と解説しました。
手ブレ補正がONになっていると、動いている星空をカメラが『手ブレだ!』と勝手に判断して手ブレ補正が作動し、逆に写真がブレてしまう場合があります。
●セルフタイマー(2秒)
シャッターを押した直後は、シャッターボタンを押した衝撃で微動しています。
この微動が、カメラにとっては大きい振動なのです。
このブレを防ぐため、シャッターを押してから数秒後にシャッターが作動するよう、セルフタイマーにしておきます。
10秒等の長いセルフタイマーは不要ですので、大抵の機種に搭載されている2秒セルフで設定しましょう。
●レンズの㎜数、F値(どちらも一番低い数字に合わせる)
レンズを一番低い㎜数字に合わせておく理由は、星空をなるべく広範囲で撮影するからです。
㎜数が低い位置にするほど、写る範囲は広くなります。
また、F値というのを簡単に説明すると、下げれば下げるほど明るく撮影できます。
例えばレンズに『3.5-5.6』と書かれている場合は、3.5に合わせます。
カメラの画面でF値が確認できますので、見ながら合わせてみてください。
星空の撮影方法
カメラとレンズ、三脚の準備、そして設定が終わりましたら、いよいよ撮影です。
撮影方法の手順は下記の通りです。
0.気温差がある場合は、レンズを外の気温に慣れさせておく。
(レンズが曇るのを防ぐためです。外に出しておけばすぐに慣れます)
1.一番遠くに見える光る物に手動でピントを合わせる
(もしくは撮影しながら、ピントが合う位置を探す)
2.空に向けてシャッターを切る
これだけです。
撮影が終わったら、画面を見てみましょう。
きっと、画面いっぱいに星空が広がっているはずです。
初めて撮れた星空は、感動しますよ♪
星空写真の編集方法
撮影した星空は、そのままでももちろん綺麗ですが、ひと手間編集を加える事で更に幻想的な写真になります。
そのままの写真は、カメラ側の判断でオレンジ色っぽくなり、星空もぼんやりしている事が多いです。
そこで、写真全体を幻想的な青色色調にして、星空をくっきり浮かび上がらせる事で幻想的な写真に仕上げる事が出来ます。
まずは編集用のソフトとして、カメラに付属してくる編集ソフト、またはAdobeのライトルームというソフトを入手しましょう。
ここでは、Adobeのライトルームを前提にして説明します。
※カメラ付属の編集ソフトでも似たような編集が出来ると思います。
今回は、この写真を使って説明します。
1.色温度を3500程度にする
2.トーンカーブを調整する
編集前は、左下から右上にかけて直線になっています。
まずは、赤い〇で囲んだ部分をクリックします。
そうすると線の上に丸い印が出てきますので、真ん中以外を動かして下の画像のようにします。
3.明瞭度を上げる
明瞭度を右に動かして、気に入るところまで上げます。
上げると、星がハッキリと浮かび上がってきます。
この3手順で、ほぼ編集は終了です。
出来上がった写真がこちらです。
いかがでしょうか。
最初の写真と比べて、とても幻想的な写真に仕上がったと思います。
もしちょっと暗いなという場合は、明るさ、またはハイライトを上げてください。
もっとふんわりしたいなという場合は明瞭度を下げたり、コントラストを下げたりと、色々な機能を試してみてください。
おすすめの機材
最後に、おすすめの機材を紹介します。
● おすすめのカメラ
僕のおすすめは、『ペンタックスK-5IIs』です。
2012年発売の一眼レフで、高感度の性能も高く、今ではカメラ本体がとても安価に購入出来て、別売りのレンズも非常に安価だからです。
僕もしばらくの間は、このカメラで星空撮影をしていました。
現在ではオークションやフリマサイト等で購入する事が出来ます。
また、これは『K-5IIs』に限った事ではありませんが、ペンタックスのカメラは星空撮影に向いています。
ペンタックスには、オプション品で『アストロレーサー』という機械があります。
これは、星の動きに合わせてセンサーが自動的に動く装置です。
先程、シャッターを長く開けすぎると星が動いてブレてしまう、と説明しました。
この機械があれば、星に合わせてセンサーが自動で動いてくれるため、長時間シャッターを開けていてもブレる事なく撮影する事が出来ます(1分程度は余裕です)。
これによって、光をたくさん取り込めるようになり、高感度を上げなくても星空を写す事が出来るため、綺麗な写真を残す事ができるのです。
※ペンタックス以外のカメラでこれを実現するには、赤道儀という数万円~数十万円する機材が必要になります。
2020年11月現在の相場は、カメラであるK-5IIs本体が20,000円~30,000円、レンズであるDA-L18-55㎜が1,000円~3,000円程度です。
● おすすめの三脚
マンフロットの『 ミニ三脚 PIXI ホワイト(MTPIXI-WH)』をおすすめします。
全長15cm程で、とても小さく収納に困らない事と、地面に置いて下から見上げた景色を撮影出来るからです。
地面から撮影すると、テント等のキャンプギアと一緒に星空を撮る事ができます。
一般的な三脚ではローアングルに出来ないため難しいのですが、この三脚だと簡単に実現出来ます。
まとめ
今回は、キャンプで星空が撮りたいな、でも必要な機材とか撮影方法が分からない、という方に向け、機材や設定方法、撮影方法等をご紹介させて頂きました。
大分長文になってしまいましたので、下記の通りまとめます。
●カメラの選び方
・2012年以降のミラーレスまたは一眼レフカメラ
(ソニー、キャノン、ニコン、ペンタックス、富士フィルムから選ぶ)
●レンズの選び方
カメラのセンサーサイズを調べて
☞APS-Cなら18㎜~
☞フルサイズなら24㎜~
から始まるレンズを選ぶ。
(APS-C用、フルサイズ用の違いに気を付ける)
●他に必要な道具は三脚だけ
卓上タイプなら、キャンプギアと一緒に星空が撮れる
●撮影の条件は3つ
① 暗い場所である事
② 新月前後である事
③ 晴れている事
●カメラの設定
・マニュアルモードにする
・シャッター速度15秒
・ISO感度1600
・保存はRAW+JPG
・ピント合わせはマニュアル
・手ブレ補正はOFF
・シャッターモードは2秒タイマー
・レンズ距離は一番低い数字に合わせる
・レンズF値も一番低い数字に合わせる
●撮影方法
・一番遠くに見える人工光にピントを合わせる
(もしくは撮影しながら徐々にピントを合わせていく)
・レンズを空に向けてシャッターを切る
これからの季節は、星空が空いっぱいに広がる冬の天の川を見る事が出来ます。
ぜひ、キャンプの素敵な想い出を作ってください。
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